Tartaruga Type R専用キャノピーセット その2

バキュームフォーミング(真空成型)による、本格的な

キャノピーの製作を決意した私は、早速、簡単なスケッチとおおよそのサイズを決めて、ナムコ時代に透明物を得意としていたサプライヤーさんに連絡を取り、概算の見積もりを取りました。
今回、製作する製品は、ナムコ時代にも経験の無い程の大きさと、極めて高い透明性が求められる、高品質な商品でした。
覚悟はしてはいたものの、提示された見積もりは、とても高額な物でした。

製品代も高額でしたが、何より型代が高額で、数百万の投資が必要でした。
私とは、長い付き合いのあるサプライヤーでしたので、適正な価格というより、ご協力価格になっている事も、容易に想像はつきました。
流石に、一瞬の迷いはありましたが、2001年に起業して以来、弊社自身による宣伝広告は打った事が無く、「こんな事に、真剣に取り組む」その姿勢は、ある意味広告効果としても、充分に機能するのではないかとの判断から、そのまま進める事にしました。

バキュームフォーミング(真空成型)

ここで、バキュームフォーミングについて、改めて簡単に説明しておきます。
シート状の、熱可塑性プラスチック素材(熱を掛けると、柔らかくなる樹脂)を、素材の両面からヒーターで温め、柔らくなったところで、型に押し当て、型と素材の間の空気を抜く(真空にする)事で、シート素材が型に密着して、プラスチックの成形品を作る方法です。
縁日等で売っている、「おめん」がその代表例です。

アルミ製の巨大な型を製造

まずは、製品の図面を用意する必要がありました。
空力の基本を学んで理解した上で、最終的に丸めて収納ができる様に、上部へ行くに従い、なだらかな平面に近くなるような形状を想定して、当時は2次元のCADを使用していたので、基本形状の分かる三面図を起こし、更にその正面図に対して、幾つかのパートに分断して断面図を起こし、各断面図がスムーズにつながる形状になる様に、配慮をしながら、バキュームフォーミングに必要な形状の図面を製作しました。

出来上がった図面をもとに、サプライヤーお抱えの型職人と打合せを行い、文字通り「木」を材料にした、実寸大の「木型」を製作します。
仕上がった木型に対して、現物確認を行い、修正要望を出し、その要望を盛り込んだ修正を行って、木型を完成させます。
完成した木型を使って、実際のバキュームフォーミングの成形機に掛けて、試作用のテストショットをおこない、最終的な成型品の形状確認をします。

この時は、一発で設計した通りのイメージの成形品が取れたので、そのままアルミ製の巨大な量産型の製造へと移行しました。
量産型の製造は、基本的には試作で使用した木型を反転したうえで、そこにアルミを流し込んで鋳造します。
ただ、ここで収縮等の問題がある為、サプライヤーごとに様々なノウハウとテクニックを駆使する事になります。

量産試作、そして量産

「量産型が、仕上がりました。」との連絡を受け、量産試作の立ち合いにサプライヤーを、再び尋ねました。
そこには、ピカピカに研磨されて、磨き込まれた巨大なアルミ製の量産型が横たわっていました。
型が巨大すぎて、成型機にセットするのも一苦労でしたが、早速、成型機を稼動させて、量産型を使用した試作を行いました。

当時所有していたコンデジの、ムービー機能を使用して撮影した貴重な動画が残っていました。

加熱したシート素材を、単純に押し当てるだけでは、仕上がった成型品の肉厚が均等にならなかった為、型に押し当てる前に、フリーブローを行い、シート素材をある程度膨らませておいたうえで、型に当てる事にしました。
更に、加熱したシート素材が、型に当たった瞬間に、当たったところから冷却が始まってしまい、その部分の肉厚が厚くなってしまうため、成型前に型をガスバーナーであぶり、プリヒーティングを十分に行う事にしました。
量産試作では、こういった一連の細かな条件出しを、徹底的に行い、スムーズな量産に備え、最終的に決めた細かな条件をベースに、後日キャノピー本体の量産を行いました。

つづく