Tartaruga Type R専用キャノピーセット その1

Tartaruga Type R専用キャノピーセット その1

こうして、Tartaruga Type RECUMBENT

のプロトタイプは、2003年の台北ショーへの展示に、何とか間に合いました。
ショーでの反響は、とても高く、特にキャノピーを装着した「雨の日にも乗れる」バージョンは、注目を浴び、高い人気をはくしました。
展示には、Pacific社へのプレゼンに使用した、スライドショーに若干の手を加え、「日本の伝統建築のテイスト」をコンセプトにしたデザインである事を、大々的にアピールしたことも、好意的に受け止められた印象でした。

キャノピーのリデザイン

台北ショー終了後、二ヶ月以上滞在していた台湾から、キャノピーを含むサンプル車両一式をハンドキャリーして、帰国しました。
台湾滞在中は、プロトタイプの完成が、ショーへの展示に何とか間に合ったスケジュールだった為、低速走行レベルの実走しか、できていませんでした。
そこで、帰国の翌日、再度組立を行い、多摩川サイクリングロードでの実走試験を行いました。
そして、予期していなかった大きな問題を発見する事になります。

低速走行では、全く問題なく走行できていた、キャノピー付きのTartaruga Type RECUMBENT でしたが、高速になるととたんに、キャノピー両サイドからの、空気の巻き込みと共に、大きな風切音が顕著に現れました。
塩ビ生地とは言え、フレーム構造により、ある程度の丸みを持たせてあったにも関わらず、空気抵抗による洗礼を受けたのです。
「自転車位のスピードであれば、これ位で大丈夫だろう。」と、タカを括っていた私の考えは、もろくも打ち砕かれてしまいました。

空力 – エアロダイナミクス

結論から言うと、キャノピーには「空力 – エアロダイナミクス」の要素が、不可欠だったという事です。
当初予定していた、透明塩ビにテント生地を縁取りした、オープンカーのキャンバストップの様な物では、形状的にこの条件をクリアーする事は難しいという結論に至り、透明な樹脂を使用した、本格的なキャノピーの制作を決意しました。

海外製のキャノピー

タルタルーガ自転車タイプRキャノピー海外ブランド製のリカンベントの世界では、風防としてのキャノピーは、ある意味一般的で、小型なキャノピーが、既に多数存在していました。
その多くは、ポリカーボネートを素材に使用したもので、フリーブロー成型という、板に穴が開いただけの、簡単な型を用いて、シート状の素材を加熱して柔らかくしておいて、下から圧搾空気を送り風船の様に膨らます手法を取っている様でした。
このフリーブローだと、型代が安くてすみ、素材と型が密着する事も無いので、製品の透明度が、容易にキープできます。
その反面、空気で膨らませるだけなので、出来上る製品形状にどうしてもばらつきが出る為、きっちりとしたフレームへの取付けには、寸法と形状のコントロールが難しく向いていません。

本格的なキャノピーの製作

タルタルーガ自転車タイプRキャノピー対して、私が目指した、雨の日にも乗れる為のキャノピーは、車両の前面を視界の位置まで覆う必要があり、車両に取付けたフレームにも、しっかりと沿う必要があります。
そのためには、ピカピカに磨き込んだアルミ製の巨大な型を製作して、バキュームフォーミング(真空成型)をおこない、CNCマシンで切り出して、製品を作るしかありません。

また、その上で、使用しない時には、小さく丸めて、部屋にしまっておけるようにという仕様は、保持する必要があります。
この仕様を実現する為に、採用したのがPET-Gという素材でした。
ポリカーボネート並みの透明度と、耐衝撃性能を持ち、バキュームフォーミングが容易な特殊シートです。
この時も、ナムコ時代の経験が大いに役に立ちました。
バキュームフォーミングは、ナムコでのアミューズメントマシンの開発で、多用していた手法であり、素材やサプライヤーの情報、形状的な経験も十分に持ち合わせていたからです。

つづく