Type SPORT GT誕生 その名はGrand Touring

2005年に発売を開始した、Tartaruga Type SPORT は

そのコンセプト通り、小径車とは思えないとても安定したハンドリング性能と、長距離を普通に走れて、更に荷物もたっぷりと積載できて、折畳みが可能という事で、好調な売れ行きでスタートしました。
しばらくすると、各地の試乗会会場やTartarugaマエストロの皆さんを通じて、ご購入いただいた方々からのフィードバックも、私に入る様になりました。

長距離を走ってみたら、驚く程の距離を走れた

それらのフィードバックで、圧倒的に多かったご意見が、「長距離を走ってみたら、自分でも驚く程の距離を走れた!」というものでした。
このご意見をいただいた方は、既にロードレーサーやクロスバイクをお持ちのお客様が多く、それまでも長距離ライドをされている方々でした。
その方が口々におっしゃったのが、自転車に乗って長距離を走ろうと、ご自宅を出発して、ある程度の距離を走ったあたりで、「この辺で、引き返さないと、自宅までたどり着けなくなりそうだな。」と引き返すポイントの判断を迫られるそうで、「それが、とてもストレスだった。」という事らしいのです。
それに対して、Tartaruga Type SPORT 購入後は、「とにかく自分が行ける処まで行ってみて、力尽きたら小さく折畳んで、電車やバスを利用して帰ってくればいいやと思い、いざ発してみると、自分でもビックリする位の距離を、走れちゃったんです!」とのお話でした。

コンセプト通りの使い方

このご意見は、まさに我々がTartaruga Type SPORT 開発時に掲げた、コンセプトの一つだったわけで、その事が実際にお客様達に実行されているという事実は、何よりも大きな喜びでした。

長距離を走る楽しみ方

私が小さかった頃、いわゆる「サイクリングブーム」というものがあり、「サイクル野郎」という自転車漫画がとても人気でした。
当時、私自身はしっかりと読んだことこそありませんでしたが、この漫画の主人公の様に、自転車の前後にパニアバッグを付けて、日本一周を目指す人々が大勢いたのは鮮明に覚えています。
自転車で旅をすることを目的として作られる自転車は「ランドナー」と呼ばれています。
前出のTartaruga Type SPORT をご購入いただいた方々からのお話を伺うにつれ、この「ランドナー」的なキャラクターの商品を、Tartaruga Type SPORT のラインナップに加えるべきではないかと思うようになり、早速その商品企画に着手しました。

その名はGrand Touring

既に、Tartaruga Type SPORT 自体がその素質を十分に持ち合わせていたので、「ランドナー」的なキャラクターの商品を企画するということ自体は、さほど難しいものではなく、仕様の検討に徹する事にしました。
その商品名を、Tartaruga Type SPORT Grand Touring(GT)と決め、その販売価格帯を検討しました。
当時のTartaruga Type SPORT の商品構成は、エントリーモデルのSD、上位グレードのDX、シマノアルテグラを使用したフラッグシップレーシングモデルULTEGRAの3種構成でした。
このうちULTEGRAは、ほぼ受注生産の様な扱いでしたので、メインの商品構成はSDとDXでした。
そこで、追加するGTは、より多くの方々に購入していただきやすくする意味合いから、SDとDXの中間位の価格帯とすることを決め、結果SDをベースに必要なパーツの変更を行う手法を取る事としました。

Tartaruga Type SPORT Grand Touring
主なSDからの変更点は、以下の通りです。
ドロップハンドル化
ブレーキレバーに組み込まれたインデックスシフターレバーを採用
走破性と走行性を両立させたハイグリップタイヤを採用

パーツ選定のこだわり

ドロップハンドル化に関しては、ドロップハンドル未経験者の方にも、抵抗なくすんなりとお乗りいただける様に、窮屈ではなく、それでいて大きくなり過ぎないサイズ感と扱いやすさを両立したパーツ構成とし、世の中で最も乗りやすいドロップハンドルを目指しました。

ドロップハンドル未経験者の方にも、抵抗なくすんなりとお乗りいただける事を意識してパーツをセレクト
ブレーキレバーに組み込まれた、インデックスシフターレバーに関しては、何よりその操作性と変速性能、価格のバランスを意識して、数多くのメーカーのレバーを取付け、実装走行試験を行い、最もバランスの取れていたmicroSHIFT 社のパーツを採用する事にしましたが、当時日本に入ってきていたmicroSHIFT 社の変速機を装着した車両は、低価格商品が多く、microSHIFT 社の商品イメージが悪いとの理由から、OEM先であったSunRace社の同モデルを採用した経緯があります。
これは、シマノ社のパーツに関しても、エントリーからハイエンドレベルまで、様々なグレードの商品が存在するように、microSHIFT 社の商品にも様々なグレードの商品があるにも関わらず、当時の日本市場へは価格を抑えたローエンドモデルが数多く入ってきていたことに起因する、ネガティブイメージでした。
microSHIFT 社もグレードが上がれば、とてもいい商品を作っていることを、ここで改めてお伝えしておきます。
因みに、現行のGTには、改良されたmicroSHIFT 社の商品をそのまま採用しています。

走行性と走破性を両立させたハイグリップタイヤを採用

私の理想とする「ランドナー」作りにおいて、タイヤの選定は最も重要でした。
本来のTartaruga Type SPORT のキャラクターのベースである、「折畳めるロードレーサー」から、他の全てのグレードには、共通してスリックタイヤが装着されていました。
しかし、「ランドナー」を目指すからには、林道的な未舗装路面も走る必要があります。
ロード的な走りを維持したまま、走破性も高めるという、いわば相反する条件を高次元で満たす必要がありました。
タイヤに関しても、数多くのメーカーのタイヤを取付け、実装走行試験を行いましたが、なかなか理想的なタイヤが見つかりませんでした。

北京オリンピックのBMX競技で、金メダルを取得したハイグリップタイヤ Maxxis DTH を採用
そんな折、Maxxis DTH が発売となります。
2008年に開催された北京オリンピックのBMX競技において、金メダルを取るために開発された、特別なタイヤがあり、実際に金メダルを取得します。
このタイヤが量産化された商品が、Maxxis DTH でした。
走行性と走破性という、相反する条件を、デュアルコンパウンドの採用により実現した、まさに理想的なタイヤでした。
このタイヤの存在が、GTの発売を可能にしたといっても過言ではありません。

こうして2011年6月、まさに新世代型「ランドナー」と呼ぶにふさわしい、Tartaruga Type SPORT Grand Touring(GT)が発売となりました。