Type SPORT専用リアキャリアー 開発設計編

Type SPORT を、Type SPORT たらしめている

代表的な専用オプション、「Type SPORT専用リアキャリアー」について、その開発から、量産設計、生産工程に関するお話をしていきたいと思います。
今回は、開発と量産設計に関しするお話です。

リアキャリアーありき

「自転車のSUV」をコンセプトとしたTartaruga Type SPORT は、そのユーティリティースペースの実装が、最重要なテーマでした。
特に、専用リアキャリアーは、私の求めた「日常生活の中での活用」を想定した時に、メインのユーティリティースペースになる事は明らかでした。
その為、一般的なリアキャリアーの様に、後付け感満載のモノではなく、フレームとの一体感を目指し、リアキャリアーを装着した時に、車両デザインが完成する位のクオリティーを目指しました。
車両メインフレームの、水平な「ホリゾンタルライン」を維持した、トップチューブの要素を継承し、トップチューブを更に延長したかのようなラインとし、取付けは、シートチューブに溶接された、パイプ状の「ボス」に6㎜の貫通ボルトで固定する事で、積載に充分な強度と、剛性を持たせるスタイルとしました。

また、とても複雑な計算を行い、フルフォールディングを行ってフレームを折畳んだ際に、自動的にリアキャリアーも90度折畳まれる、完璧なリンク設計を施すことで、スムーズな折畳み操作と、リアキャリアー装着の有無に関わらず、折畳みサイズが変わらない設計としました。

コストを優先した試作

この様な設計作業を経て、デザインが完成した専用リアキャリアーは、当然車両の一号試作と同時進行で試作を行い、専用リアキャリアーを取付けた状態で完成させました。
正確なリンク部の計算を行ったおかげで、専用リアキャリアーを取付けた状態でも、全く抵抗なく折畳みの操作もできました。
この時点では、専用リアキャリアーは、とはいえ「いちオプションパーツである」との観点から、極力コストを抑える事を目指した事もあり、この様な仕上がりになりました。
量産版と最も大きな違いは、車両フレームとの上部取付け部の形状です。
メイン構成部品である、両サイドの太いパイプの先端を潰し、プレート状に加工して、そのプレート中央部に穴を開けて、取付けを行っています。
確かにこの構成は、最もコストを掛けずに意図した機能を再現できるのですが、車両フレームの持つ質感に対して、とても違和感を覚えてしまいました。

車両本体に見合った質感

違和感を覚えた、最大の要因は、やはり前出の上部取付け部の形状でした。
理には適っているとは言え、どうしても漂うチープさが、車両フレームの持つソリッド感を、台無しにしてしまっています。
恐らく Type SPORT が、発売されれば、殆どの人が装着するであろう、専用リアキャリアーには、取付けた際の質感が、必ず求められるはずだと考え、方向を転換して、車両に見合った質感を持つ、誰もが「装着したくなる専用リアキャリアー」を目指すことにしました。
そして、量産版の形状が完成しました。

つづく