桜谷軽便鉄道

桜谷軽便鉄道

「鉄道の駅舎に、タルタルーガの広告を出しませんか?」

昨年(2021年)11月に、宿野輪天堂の岡田さんから、そんなご連絡をいただきました。
岡田さんが、古くから懇意にされている鉄道主の方が、コツコツ手作業で、作り上げている「桜谷軽便鉄道」(さくらだにけいべんてつどう)という、庭園鉄道の広告看板を、一新することになり、「桜谷軽便鉄道」の遊び心を応援する一員として、「タルタルーガも参加しませんか?」という、ありがたいお誘いでした。
「是非、参加させてください。」と即答して、弊社もサポートメンバーの一員として、末席に加えていただくことになりました。

タルタルーガ桜谷軽便鉄道実際の広告は、デザインから製作、設置まで、全て岡田さんにお任せで、この春にはめでたく弊社の広告看板が、「桜谷軽便鉄道」の折り返し駅、「桜谷駅」のホームに設置されたのでした。

「桜谷軽便鉄道」に行ってみよう!

そんなご縁でつながった「桜谷軽便鉄道」に、今年6月に初めて行ってきました!
コロナ自粛で中止となっていた数多くのイベントが、徐々に復活し始め、3年ぶりに京都方面での試乗会イベントに参加すべく、6月初旬に京都へ行きました。
週末に開催した2つのイベントを無事終え、延泊して、平日の朝、宿の最寄り駅だった「京都河原町」からいつもの Type SPORT と輪行。
阪急京都線の「崇禅寺(そうぜんじ」)駅で、岡田さんと待合せをして、彼の車で向かうことに。
50分ほどのドライブを経て、大阪府豊能郡(とよのぐん)の、とある山中に到着しました。

タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道車を停め、小さな段々畑で農作業をされている方々を右手に眺めながら、緩やかな坂を登った先にある、少し開けた空間に、「桜谷軽便鉄道」はありました。
平らな敷地内に、小ぶりながらも、とても本格的なレールと、レール上空に電線が敷設された、映画のセットを彷彿される様な空間が飛び込んできます。

タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道軌道の奥には、小さな車庫や、整備場を兼ねた事務所の建屋があり、その周りに「手作り」と思われる何台かの車両が、無造作にたたずんでいます。
「お~~!たまらん‼」と思わず声が出てしまうほど、「愛おしい光景」でした。

恐らく板金による手造り品と思われる、これらの車両は、その殆どの接合箇所が、ネジ止めにより組立てられています。

タルタルーガ桜谷軽便鉄道「南山線」と呼ばれる軌道の全長は、150メートル程で、「風の峠」駅と「桜谷」駅を結ぶ、鉄アレイ型の環状線となっています。

鉄道主の持元さん

タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道「桜谷軽便鉄道」については、以前から岡田さんから時折、多少のお話は伺っていましたが、実際に訪れるのも、オーナーの「持元さん」にお会いするのも初めてでした。
今年、御年95歳になられる持元さんにご挨拶をして早々、「先ずは乗ってみましょう。」と、即されました。
持元さんは、軌道の奥側にある「風の峠」駅に停車中の先頭車両の、ロックレバーを解除して「パンタグラフ」をカタンと上げると、運転席に乗り込まれ、私にはその後ろの席に乗込むよう指示され、さらにその後ろに岡田さんと、大人一人分の幅くらいの車両に、縦に三人で乗り込みました。

タルタルーガ桜谷軽便鉄道持元さんが運転席のレバーを操作すると、「ガタコン!」と本物の電車さながらの(こちらも本物なんですが・・・)、きしみ音と、「ゴ~~」という低いモーター音と共に、ゆっくりと車両が走り始めます。
「先ずは、低速で発車して、レバーを中速に入れて加速します。」と、軌道に沿ったレバー操作の方法を、私にレクチャーしてくれながら、車両が進んでいきます。
丁度、軌道の中間点あたりに達すると、「この辺りが傾斜の頂上あたりだから、ここでレバーを戻して、しばらく慣性で進みます。」との事。
しばらく進むと、今度は左へ一度曲がり、その先に隣駅「桜谷」駅の駅舎をぐるりと回り込む、右回りの急カーブが続きます。
「このカーブの手前で、レバーを操作してフルパワーを出します。」と説明は続きます。

「ガタン、ゴトン。」「ギギギ~。」と、レールの繋目を越える度、カーブを曲がる度に、リアルな(実際に走っているので、当たり前なのですが!)きしみ音やノイズを発しながら、ガタゴトと進んで行き、3分程で出発した「風の峠」駅まで戻ってきました。

「え!良いんですか?」

タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道「じゃあ、次はご自分で運転してみてください。」と告げ、持元さんが車両を降りられました。
「え!良いんですか?」と、さっきまで持元さんが座られていた座椅子に、喜んで移動して、自分で操作レバーを握りしめます。
後部座席に岡田さんを乗せたまま、たった今レクチャーを受けた操作手順を思い出しながら、二つある操作レバーを操作すると、ちゃんと運転することができました。
途中、あまりの楽しさに、時折奇声を発しながら、一周して出発駅へと再度戻ってきました。
「とても平和な気分になれる。」めちゃめちゃ楽しい体験でした!

男のロマン!

タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道車両から降り、「風の峠」駅の駅舎と工房を兼ねたスペースで、持元さんから改めてお話を伺わせていただくことになり、「何で、こんな立派な鉄道を作ろうと思われたんですか?」と、素朴な質問をぶつけてみました。

持元さんのお話によると・・・
もともと、半導体関連の会社を経営されていて、会社を退職されたあと、たまたま車を運転されている時に、鉄道用のレールを販売しているお店を偶然に見つけ、元来の鉄道好きだった為、「軽便鉄道」用のレール2本を購入して、ご自宅の庭に並べて、そのレールをただただ「愛でて」いらしたそうです。

そのうち、ただレールを「愛でる」だけでは満足できなくなり、レールを延長して行き、手押しトロッコや、バッテリー駆動の車両を手作りして走らせ始めると、ご自宅の敷地内では、様々な面で限界があるという壁にぶちあたり、ご自宅からも近い今の場所に、2001年に土地を購入されて、「桜谷軽便鉄道」開業に至られたそうです。
てことは、2001年に開業した、弊社と同じ歳という事じゃないですか!

車両本体はもとより、車両の操作レバーの電気制御や、軌道上の信号機など、機械関連、電気制御関連の全てを、ご自分でコツコツと手作りされていて、メンテナンスもご自身でやられているとの事。
「溶接」はできないので、全ての制作物は、鉄板に膨大な数の穴をあけて、ネジ止めにて組み立てられたそうです。
「穴を開けるのが、大変でね~。」とさらりとおっしゃっていましたが、その作業量は想像を絶するほどの手間だったことと、察します。

まさに、「男のロマン!」
最大限の敬意をこめて、「先輩」と呼ばせていただきます!

感謝!

タルタルーガ桜谷軽便鉄道タルタルーガ桜谷軽便鉄道「桜谷軽便鉄道」開業時の、レールの敷設や、「桜谷軽便鉄道」の社章のデザイン制作など、宿野輪天堂の岡田さんはご夫妻で、ずっと応援をされてこられたとの事。
持元さんと、宿野輪天堂のお二人に、改めて感謝いたします。
今回、お誘いをいただき、連れてきていただき、体験までさせていただき、本当にありがとうございました!

こちらが、「桜谷軽便鉄道」のオフィシャルホームページです。
事前に詳細ご確認の上、機会があれば、是非、訪れてみてください。