「自転車と旅」取材話 北海道編 その3 Day 2

「自転車と旅」取材話 北海道編 その3 Day 2

朝目が覚めて、すぐにカーテンを開け空を確認すると

どんよりとした、暗い雲が低く垂れこめ、今にも雨が降り始めそうな空模様でした。
今日は、問題の二日目です。
当時の私にとって、80キロ近い距離を走るという事自体、かなりのプレッシャーだったわけですが、それに加えて雨の中での走行となると、二重苦以外の何物でもありません。
とはいえ、自然が相手となると、非力な人間達はどう抗うこともできないわけで、少しでも早く今日のゴールである支笏湖畔の宿へ到着するよう、早々に出発する事になりました。

出発、そして雨の中の走行

サクッと朝食をすまして、昨日雨除けの為に駐輪させてもらったバースペースから、各々の車両を出して、すぐに宿を出発しました。

自転車と旅タルタルーガ
雨除けの為、バースペースに全ての車両を駐輪させてもらいました。
宿を出て走り始めると、すぐにポツポツと雨が落ちて来始めました。
万が一、取材当日に雨がふったらという事を想定して、一応最低限の準備はしてきていました。
とはいえ、走行距離もさることながら、雨の中で長距離を走った経験も、殆どなかったので、私には全てが新しい経験でした。
自分の乗るGTには、純正フェンダーが前後に装着されているので、雨具はシンプルなレインコートを持参しました。
リアキャリアーに装着した、衣類やツールの入ったパニアバックは、オルトリーブ製の完全防水でしたから、全く問題ありません。
ただ、フロントキャリアーに装着したフロントバッグ「オーストリッチ F-104」は帆布製のため、雨に濡れると、中に詰め込んだミラーレス一眼や貴重品などが大変なことになります。
そこで、宿を出る際に、隣にあった小さなコンビニで購入しておいた、ビニール製のゴミ袋を、すっぽりと前からかぶせる事で、簡易レインカバーとしましたが、これがなかなかの優れモノで、全く中身は濡れませんでした。

蒸れる・・・

何度も言っていますが、この日のコースの前半は、ずっと上り坂でした。
上りが全く苦手な自分が、レインコートを着て、ひたすらペダルを漕ぐわけなので、あっという間に汗が噴き出てきました。
その汗がレインコート内で蒸れて、更に熱くなっていくという悪循環です。
堪らず、上に着ていたネルシャツを脱ぎ、余っていたゴミ袋に畳んで入れてリアキャリアーにゴム紐で取付け、着ていたドライタイプのTシャツの上からレインコートを着て走り始めました。
すると、今までの不快さがうその様に解消しました。

コーヒーブレイク

しばらく行くと、古びた小さな東屋を見つけたので、皆で小休憩を取る事にしました。
こんなこともあろうかと、小型バーナーとドリップコーヒーのパックを持参していたので、お湯を沸かしコーヒーを入れて皆で飲みました。
飛行機輪行の場合、預ける荷物も含めてガスボンベが持ち込めない為、現地調達が必要なので、殆どのコンビニで簡単に手に入る、カセットコンロ用のボンベが使える小型バーナーを持参することがポイントです。

ランチは「きのこ王国」で

自転車と旅タルタルーガ
「きのこ王国」の名物「きのこ汁」と、「肉巻きおにぎり」がこの日のランチ
今回のコースの中間あたりにある「きのこ王国」で、ランチです。
きのこがたっぷりと入った「きのこ汁」と「肉巻きおにぎり」、「シメジの天婦羅」をランチにいただき、上り坂で消費したエネルギーをチャージして、残りのコースへ挑みます。

「きのこ王国」を出てしばらく走ると、「滝笛トンネル」が見えてきました。
このトンネルのあたりで、ようやく上り坂も終わりです。
丁度このタイミングで、朝から続いていた雨も次第に上がってきて、薄日が差し始めました。

今度は下り

トンネルに入ると、ここまで上ってきた分を取り戻すように、ドンドンと一気に下ります。
やっぱり下りは楽だ~!
支笏湖畔まで一気に下ったころには、今の皆の気持ちを表現するかの様に、完全に雨も上がっていました。
湖畔近くの駐車スペースに差し掛かったあたりで、予期せぬ生き物に出会いました。
野生のキタキツネです。

自転車と旅タルタルーガ
生まれて初めて見た、野生のキタキツネにちょっと興奮 でも触ってはいけないらしい。
生まれて初めて野生のキタキツネに遭遇した私は、お決まりの「ル~ルルルル、ル~ルルルル」と呼び掛けてみましたが、全く反応はありません・・・
近くにいた地元の方の話では、野生のキタキツネには、寄生虫がいるので絶対に触ったりしてはいけないとの事でした。

走り終えてみて

自転車と旅タルタルーガ
初心者に近い自分が、たっぷりの荷物を積んで、これだけの距離をこんなにもあっさりと走れた。
支笏湖の湖畔をしばらく走ると、予定よりも早く、この日の宿「休暇村 支笏湖」に到着しました。
こうして走り終えてみると、正直「なんだ、もう着いちゃったの?」という感じでした。
確かに、雨の中の上り坂は、大変だったし、好きではありませんが、まだ数十キロは余裕で走れそうな、そんな感覚でした。

ほぼ初心者に近い自分が、たっぷりの荷物を積んで、これだけの距離を、こんなにもあっさりと走れたことで、おかしな話ですが、自分がTartaruga Type SPORT に込めた性能や機能を、改めて実感する事となりました。
この日の経験は、自分にとって本当に大きな自信につながりました。
この日の経験を境に、様々なところへ「輪行」する様になったのでした。

この時期の北海道は、冬場の融雪剤やスリップ留めの砂等が道路に残っていて、雨の中を走って来たせいで、メンバー全員のどの車両も酷く汚れていました。
早めの到着で、到着時には快晴になったこともあり、ここまで我々を運んでくれた事への感謝を込めて、全ての車両を軽く水洗いしてやりました。

つづく