「Type FOLDING」誕生 その2 試作編

「Type FOLDING」誕生 その2 試作編

ひらめいた アイデア をベースに

自分の目指すべき「新しい感覚の乗物」のコンセプトが固まり、具体的なデザインと設計をすすめて行きました。
最も重視した点は、ライダーが車両に乗車した際の姿が、斬新で風を切って疾走するイメージとなる様、スタイリッシュにまとめる事でした。

更なるスケッチと、当時覚えたての2次元CADを使い、作りの構成と、おおまかな位置関係を含む寸法を決めていきました。
今にして思えば、当時の私は、自転車における “ジオメトリー”(サドル、ハンドル、ペダル等の位置関係や、ヘッドチューブの角度など)という考え方自体を、全く持っていない訳ですから、アーケードゲーム機設計時に用いていた人体データをベースに、操作ポジションとスタイリングを優先しての設計でした。
とはいえ、自転車のフレームも構造物の一種ですので、構造力学的に破綻をきたさない様にまとめて行きました。
こうして、基本的な設計案が完成したのですが、ここで新たな問題が発生します。

どこで「試作」を作るのか

という問題です。
企画当初から、フレームはアルミ製で考えていたので、アルミの切削や溶接のできる工場で作る必要があります。
素人ながら、高級なアルミ製自転車の殆どが、台湾で生産されている事は知っていましたので、量産は台湾の工場を、探すことにしていましたが、海外の工場と打合せをする際のサンプルとして、何より初期的な問題を確認する意味でも、試作は国内で色々と話を詰めながら作りたいと思っていましたが、全くその当てがありません。
そこで書店へ行き、当時売られていた自転車とパーツのカタログ本を購入し、最終ページに掲載されているメーカーインデックスを見ながら、「あ行」から順に電話をかけ、事情を説明して協力を依頼してみましたが、インデックスにあった50社近い全ての会社から断られてしまい、途方にくれたのを記憶しています。

カネコレーシング

カネコレーシング製 maxim309

そんな時、私が途方にくれている事を知った知り合いから、「FJ1600(フォーミュラカーのエントリーカテゴリ)を作っている会社の社長を、紹介しましょうか?」という話が舞込みました。
早速一度会って話をする事になり、資料を見せながら打合せを行ったところ、すっかり意気投合して
「面白いね!やりましょう。」という事になり、カネコレーシングでの試作が決まりました。
後から知ったのですが、カネコレーシングの金子社長は、FJ協会の理事を務められている、日本のフォーミュラレーシング界の重鎮のお一人でした。

試作を進める中で、カネコレーシングの持つ、レーシングカー設計のノウハウもつぎ込み、結果的に、乗物としてのさらなるブラッシュアップが盛り込まれ、TOP画像の試作図面が完成し、試作制作へとステージは進みます。

つづく