「Type FOLDING」誕生 その4 東京国際自転車展 2000
- 2018.03.30
- タルタルーガ
- Type FOLDING, 自転車, 開発
「なにこれ?」
試作品の塗装をお願いすべく、完成したばかりの試作車をカドワキコーティング さんに持ち込み、門脇社長に見せた際の、第一声でした。
事情と状況を説明して、試作車両への塗装をお願いすると、快く引き受けていただけました。
早速、塗装色の打合せを行うべく、カラーチャートを前に色々と話を進めていく中で、門脇社長から一つの提案がなされました。
「これ、東京国際自転車展に展示しない?」
突然の提案に、驚きを隠せないでいる私に、門脇社長が続けます。
「今年カドワキコーティングとして、初めて東京国際自転車展に出展するので、そのブースに置きなよ! お金はいらないから。」
2000年の東京国際自転車展開催の2週間程前の出来事でした。
せっかくのご提案に、乗らない訳にはいきません。
その場で「是非お願いします!」と即答して、勤務先へ戻り、部署内の調整を行い、出展の了承をもらうと、早速車両のグラフィックデザインと、商品説明のパネル作りに取り掛かりました。
この2000年の、東京国際自転車展に試作車両を展示した事で、このプロジェクトが大きく、本当に大きく動く事になります。
今こうして振り返ると、この門脇社長からのご提案が無ければ、今の自分も、Tartaruga というブランド自体も存在していなかったと思いますし、以来、門脇社長には、Tartaruga の広告画像のモデルをはじめ、様々な場面でお世話になっていて、今現在も親しくさせていただいています。
この場を借りて、改めて心よりお礼申しあげます。
東京国際自転車展 2000 開幕
搬入日前日、何とかA0サイズの商品説明パネルを完成させ、カドワキコーティングで粉体塗装を施された試作車両2台に、カラー出力で作ったステッカー類を張り込む作業を徹夜で行い、車に積み込み、そのまま東京ビッグサイトへと向かいました。
徹夜明けで眠いはずの道中も、翌日から始まるショーを思っての興奮からか、不思議と全く眠気を感じませんでした。
搬入後、カドワキコーティング ブース内に、折畳んだ状態の車両を壁に掛けて、一番手前のスペースに車両形態の試作車と商品説明用のパネルを設置させていただき、翌日2000年11月10日から12日までの、3日間のショーが開幕しました。
初めての自転車ショーでしたので、全てが新鮮でした。基本私が展示車両の傍らに立ち、興味を示された方々に、商品に関する説明を行っていきました。
ご来場の方々の反応は、中々の物で、いくつかの出版社からの取材や、販売代理店を希望される会社からのオファーもありました。
そんな中にPacific Cycles のジョージ・リン氏との出会いも含まれます。
Pacific Cycles のジョージさん
それは、ショー最終日のお昼過ぎのことでした。
台湾人の御一行がブースにやってきて、一番年配そうな方が、英語で何やら話し掛けてきました。
あいにくその頃は、簡単なトラベル英語レベルの英会話力しか持ち合わせていなかった為、御一行に同行されていた日本の自転車メーカーの方が、通訳をしてくれました。
その方によると「この人は台湾の自転車メーカーの社長で、この試作をみて、うちのフレームだと言っているよ。」と言うのです。
「は~?」という感じでした。
「これは、紛れもなく自分のオリジナルデザインのフレームで、日本のカネコレーシング製の試作品なんですけど。何言っているんですかね?」と、速攻で返すと、「いや、このフロントフォークとBB、うちで作ったフレームですよ。ほら、‘P’で始まる番号が刻印されているでしょう。」との返事に、ようやく事態が飲込めました。
以前に述べましたが、試作を製作する際に、パーツ取り用の為、市販されていた16インチの小径車を購入して、そのフレームを切断してBB部やフロントフォーク部を流用したのですが、その際に購入した商品を作られた Pacific Cycles という会社のジョージ・リン社長とその御一行でした。
「そういう事なんですね!そうです、その通りです。」と答えると、
「この商品は、とてもおもしろいと思います。どうですかこの商品を量産したいのなら、うちで作りませんか?」とのオファーを、いきなりもらいます。
「え~~!」
本当に、びっくりしました。
この時私は、Pacific Cycles という会社がどういう会社なのか、全く知りませんでした。
つづく
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