Tartaruga Type SPORT イージーフォールディング 1
「小さく折畳める、ロードレーサーを作る」
というプロジェクトから派生した、Tartaruga Type SPORT ですが、その基本的な折畳み機能に関しては、工具等は使いませんが、基本バラバラにして、専用の輪行バッグに詰める事で、持ち運びができるというものでした。
「フルフォールディング」(Tartaruga Type SPORT 発売当初から、基本性能として持ち合わせている、前後輪を外して、小さく畳める折畳みスタイル)と呼ばれるこの折畳み方法は、実際、工具等は一切使わずに、1分もあればバラバラになりますが、専用輪行バッグへの収納は、手順書通りにやれば、最もコンパクトに、また収納後に内部でパーツ同士がぶつかり合って、キズ等付きにくくなる様な、合理的な収納が可能なのですが、10分位の時間を要します。
「折畳み自転車を買って、年に何回 折畳みますか?」
「殆どの人は、年に数回位しか畳まないのでは?
であれば、折畳みの機能は、前後輪を外して行うと割切って、その分走りに性能を振った商品があっても、いいのではないでしょうか。
いざという時に、小さくなれば良いのですよね?」
というコンセプトからすると、このバラシに1分、専用輪行バッグへの収納に10分という性能は、十分な物と考えていました。
事実、このコンセプトは、多くの皆様に受入れられ、発売と同時にかなりの台数を販売する事が出来ました。
発売からしばらくすると、以前にもお話しした様に、ご購入いただいた方々からのフィードバックが、私の元に入って来る様になり、その中に「確かに今の折畳み機能でも、十分ではあるんだけど、もう少し簡単になりませんか?」という類の要望が、次第に増えていきました。
また私自身も、雑誌の取材等をきっかけに、改めて輪行の楽しさを体感したことで、いろいろな場所へ輪行をするようになり、確かにこの要望の意味するところを、実感するようにもなりました。
そこで、このご要望にお応えするべく、対応策の開発に着手することにしました。
要は、birdyなど、通常の折畳み自転車と同じレベルの簡単操作で、専用輪行バッグに収めることなく、簡単に持運びができる様になれば良いのだと考えました。
イージーフォールディングアダプター
「フルフォールディング」を行なう際に、最も多くの方が戸惑われるのが、後輪の取外しと取付けの操作でした。
コツとしては、後輪を外したり取付けたりする際に、リアディレーラーを持ち、チェーンとリアホイール側のカセット(ギア)との干渉を、抑えるよう操作をしてあげれば、簡単に取外しと取付けが可能なのですが、このコツを覚えて操作を行う事が、一般の方々に対して、敷居をあげている事がわかりました。
であれば、取外すのは、取外しの簡単な前輪とハンドルのみとして、取外したこれら2点のパーツを、フレームに取付けるアダプターを用意すれば良い、という結論に至ります。
こうして「イージーフォールディングアダプター」の基本構想が生まれました。
何処にどう取付けるのか?
開発当初から、Tartaruga Type SPORT には、様々な拡張性を確保すべく、ネジ切りした穴や貫通パイプ等を溶接してありました。
これらのどれを、どう使えば、最も理想的なイージーフォールディングの形態が作れるのか、具体的な検証を開始しました。
既に車両があるわけなので、実車を使って立体パズルのように、様々なパータンを試しては変更を繰返して行きました。
そこでポイントとなったのが、リアキャリアーの扱いです。
既にTartaruga Type SPORT を購入された多くの方々が、リアキャリアーを装着しており、「自転車のSUV」を目指したTartaruga Type SPORT のキャラクター的にも、リアキャリアーの装着率は増えていくはずなので、リアキャリアーが装着された状態を基本に、立体パズルを解いていくことにしました。
その結果、ダウンチューブ上面に設けてある、ボトルケージホルダー取付け用のネジ穴を利用して、取外した前輪とハンドルステムをセットする為の、「イージーフォールディングアダプター」を取付けるのが、もっとも収まりがいいという結論にいたり、上面にハンドルステム用のクランプ(取付部)を設け、側面に前輪用のクランプ部を設けた、現行の「イージーフォールディングアダプター」の基本形状が生まれ、各クランプ部の最も収まりの良い位置関係が決まりました。
つづく
-
前の記事
「自転車と旅」取材話 鹿児島編 その3(最終回) 2018.05.29
-
次の記事
Tartaruga Type SPORT イージーフォールディング 2 2018.06.05