Tartaruga Type SPORT 専用イージーローラー 2

「Tartaruga Type SPORT専用イージーローラー」の
開発過程において、開発作業自体にはそれ程大きな問題は発生しなかったのですが、その使用スタイルの考察に関して、多くの時間を費やしました。
どう転がすのか?
前回お話しました通り、「イージーフォールディング」自体、専用リアキャリアーの装着を前提としていたこともあり、メインとなるローラーは、リアキャリアーの後部にベースを取付け、そのベースの左右に1個ずつ小さな車輪を取付けてあげればよかったので、比較的簡単にこの部分の構想は決まりました。
では、「イージーフォールディング」を行ったTartaruga Type SPORT を、どう転がすのが、最も適したスタイルなのか?
この点については、徹底的に考察しました。
ペットの様に連れて歩きたい
最初にトライしたのは、フロントフォークに収まったリアホイール下部に、自在キャスターユニットを装着して、「イージーフォールディング」を行ったTartaruga Type SPORT に紐をつけて、ペットの様に連れまわす案でした。
早速、リアキャリアーの後部に取付けるメインローラーと、リアホイール下部に取付ける自在キャスターユニットの簡易試作を、製作して装着し、色々な位置に紐を取付けて、引き回してみましたが、安定感に乏しく、簡単に転倒してしまいます。
その後も、様々な案を試しましたが、結局リアキャリアーの後部に、メインローラーを取付け、フロントフォークの先端を手で持ち、「押すように転がす」のが、最も安定感があり、転倒しそうになった場合の、リカバリーもやり易いという結論に達しました。
「こんなに簡単な方法でいいのか?」と、多少不安もありましが、転がしテストを依頼した殆どの方々から、「充分ですよ!」や、「今まで、色々な専用オプションパーツをリリースしてきたからこそ、こんなにシンプルな方法で運べるのだから、Tartaruga らしいですよ。」等の、ポジティブなご意見が圧倒的に多かったこともあり、このシンプルな方法を転がしスタイルと決定しました。
ローラーホイールの素材
一般的に、この様に転がし移動を行う為のパーツに付属しているローラーホイールには、ベアリング内臓のインラインスケート用ホイールが、使用されるケースが多いかと思います。
世の中には、インラインスケート用のホイールは、数多く存在していて、サイズも含めて容易に理想的なパーツを見つける事が可能です。
しかし、あえて「Tartaruga Type SPORT専用イージーローラー」に採用したローラーホイールには、インラインスケート用のホイールを使用しませんでした。
理由はシンプルで、インラインスケート用のホイールの多くは、転がりは良いのですが、素材特性として、昔あった「スーパーボール」と同じように、衝撃が加わると「はねる」傾向があるからです。
そこで、「Tartaruga Type SPORT専用イージーローラー」には、「重加重用」の耐衝撃性能のあるキャスターホイールを製造しているメーカーを探し当て、そのメーカーからホイールのみを仕入れ、専用冶具を製作して一点一点 旋盤にセットしたうえで、CNC用の精密ドリルビットを用いて、弊社の仕様に合う様に軸受部を切削して製作しています。
更に、ベアリングにも負けないスムーズな回転性能を得るために、軸受部とそこに挿入されるシムパーツの間には、シマノのデュラグリスを塗布して、組立を行っています。
ベースはCNCで切削して製造
パーツとしての質感へのこだわりと、生産数量の問題から、ベース部はアルミブロックから、一点一点削り出して製造を行っています。
ここで、弊社製品には多用されている、CNC加工について、このベースの製造工程を使って簡単にご説明しておきたいと思います。
3D CADによる設計を行い、3Dモデルデータを製作します。
完成した3Dモデルデータをベースに、コンピューター上でCAMソフトを使い、CNCマシンの加工シミュレーションを行い、CNCマシンの加工プログラムと、各工程ごとの冶具を製作します。
熱処理を行った、最終形状より一回り大きいサイズにカットした、アルミブロックを用意します。
専用の冶具にセットして、冷却と潤滑を兼ねた液体を吹付けながら、片面の切削加工を行います。
もう片面の加工が行える様、別な専用冶具にセットして、更に切削加工を行います。
この様に形状により、工程ごとの専用冶具のへのセットを繰り返しながら、切削加工を行っていきます。
全ての切削加工が終了した素材は、洗浄、表面処理(アノダイズ等)、レーザー加工によるロゴ等の刻印を経て、製品としてパッケージされ、完成します。
「Type SPORT専用イージーローラー」完成、発売開始
前年に出た、「Tartaruga Type SPORT専用イージーフォールディングアダプター」を使用した「イージーフォールディング」と併用する事で、Tartaruga Type SPORTは、本来あるべき姿に到達したと言っても過言ではありません。
特に「輪行」時における使い勝手に関しては、新次元の使いやすさを手に入れました。
これまで他の製品で、一度でも「輪行」を行った事がある方なら、「もっと、こうならないのかな?」と不便や、不満に思っていた全ての問題が解決された「楽らく輪行」が、どなたにでも可能となっています。
「輪行」未経験の方々を含めて、「輪行」にご興味をお持ちの全ての方々に、必ず御満足いただけると、自信をもってお勧めできる使いやすさになっていますので、是非お試しください。
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