英会話 前編

英会話 前編

Tartaruga の代表兼、デザイナーという肩書を持つ

私ですが、現在、台湾のPacific Cycles 社の開発部門の仕事も、一部請け負っています。
既にお話しているとおり、弊社の Tartaruga シリーズも、台湾のPacific Cycles 社で生産を行っています。
現地の主要スタッフ達とは、「英語」を使ってコミュニケーションを取っています。
「吉松式 英語」といった方がいい、私の話す「英語」は、かなり我流で、その筋の人が聞けば、その「でたらめ具合」に閉口されるかもしれませんが、コミュニケーションツールと割り切り、気にせず使っています。

子供の頃、「英語」には一種のあこがれがあり、「いつか洋画が、字幕なしで観られたら・・・」的な、希望を持っていました。
そんな私が中学入学時に、最も胸膨らませた学科が「英語」で、上記希望を実現したいと、当初は真剣に、授業にも向き合っていました。
ただ、当時の「英語」の授業内容は、文法を重視した受験向けの教育で、「新しい言語を学ぶ」喜びを感じる前に、早々に脱落してしまい、「英語」は不得手科目の筆頭になってしまいました。
私が今、(吉松式)英語を話し、海外ショーへの出展や、海外の企業と仕事をしていることを、当時の同級生たちが知れば、さぞ驚く事でしょう。

きっかけ

2000年の東京国際自転車展での、Pacific Cycles 社のジョージさんとの出会いが、私の人生の大きな分岐点になったわけですが、以前にも触れた通り、当時の私は、簡単なトラベル英会話レベルの英語力しか、持ち合わせていませんでした。
ホテルと、飛行機のチェックインが、何とか自分でできるレベルということです。
東京国際自転車展で取付けた、Pacific Cycles 社訪問のアポも、本当に取れているのか、台湾へ向い、当時通訳もしていただいていた、現地の商社社長に確認を取ってもらうまで、とても不安でした。
実際その時に、どういう英語をしゃべったのか、全く覚えていません。

翌年の春 Tartaruga の起業を決め、商社社長と共にジョージさんを訪ね、そんな自分と、直接取引してもらえるかとの問いかけに、快諾をいただき、「ついでにお願い!」とばかりに、Pacific Cycles 社の出展しているユーロバイクショー等の海外の展示会にも、自分の商品を展示させて欲しいと交渉、私が毎回自費で参加する事を条件に、こちらも快諾をいただき、その年のユーロバイクショー(ドイツ)、ミラノショー(イタリア)、インターバイク(USA)、オーストラリアショー(オーストラリア)への出展が決まりました。

ユーロバイク出展までに!

帰国後、退社、起業の準備、Type FOLDINGの開発等に追われるなか、「直近の8月末から開催されるユーロバイクショーまでに、ちゃんと英語が喋れるようにならないと!」と決意し、英会話スクールを訪ねます。
2001年6月中旬の事です。

2ヶ月で

自宅から最寄りの英会話スクールを訪ねた私は、コース選択の為の面接を受けました。
その面接で、「2ヶ月後の8月末から開催されるユーロバイクショーで、自分の製品の商品説明を行い、興味を示した顧客と、夜食事に行き、色々な会話を楽しみながら取引の契約を結べるくらいの、英会話力を付けたい。」と要望を伝えました。
「それは無理です。」と、間髪入れず即答されました。
「限定された話題が想定できる、会議やプレゼンであれば、何とか可能かもしれませんが、夕食に行って会話を楽しみながらとなると、何が話題になるか全く想定できません。それらに対応する英会話力は、2ヶ月では無理です。」というのが理由でした。
「確かに・・・」
納得のいった私が、「では、どこまでできますか?」と尋ねると、「ご自分の商品の説明を、英語で完璧にできるところまでを、この2ヶ月でやりましょう。その先は、御帰国後に続ければ、必ずできるようになります。」
「わかりました。よろしくお願いいたします。」と、入学を決めました。

授業

タルタルーガ自転車英語目的を達成する為に、ユーロバイクまでの2か月間は、かなり高額でしたが、プライベートレッスンを組み、週2回の授業を受けました。
1レッスン50分の授業を、火曜日と金曜日の2回です。
火曜日は、日本人講師による英語の基礎を学ぶ時間で、私のレベルに合わせてテキスト選びから行いました。
金曜日は、日本に来たばかりの、日本語が全く話せない若いアメリカ人女性で、この人と一緒に商品説明の原稿を作り、ペラペラ話せるようにします。

特に、火曜日の授業は目からうろこでした。
おそらく中学英語レベルのテキストを使用して、そこから抜粋した項目を使っての授業でしたが、あれほど嫌いだった文法を含む、英語の基本的な考え方を、この授業で学び直しました。
授業は、週にたった2回、しかも1回僅か50分なのですが、火曜日の授業は録音のできる「ウォークマン」に録音して、次の授業まで何回も繰り返し聞き、予習と復習を含め、授業の無い日もまさしく英語漬け。
後にも先にも、あれほど集中して「勉強」した記憶はありません。
ある日の授業で、「How many minutes does it take to get there?」(そこまで何分掛かるんですか?)というセンテンスを、流暢に話す講師の英語が、どうしても真似してスラスラ言えず、次の週までこの個所を「カセットテープ」で繰り返し聞きながら、言える様になるまで何回も練習して、次の授業でこのセンテンスを私がすらすらと話すと、「Wow!」と、講師が、ガチで驚かれたのを、はっきりと覚えています。
この経験が、「英語は音で覚える」ことを実感して、私が英語を克服した(気になった・・・)瞬間の記憶となっています。

商品説明の方も、最初に自分で考えて来た説明文を使って、プレゼンを行い、「ここは何を言いたいのか?」との問いに、「これこれ、こう云うことを言いたんです。」との説明に、「では、こう云う表現の方が適切ですよ。」的なボディーランゲージを交えた会話を繰り返しながら、ブラッシュアップを続け、最終的には全てを暗記して、更に大げさな抑揚をつけたり、ポイントを強調したりと、二人で、英語ならではのプレゼンを完成させました。

こうして、2ヶ月はあっという間に経過し、ユーロバイクショーへと向かいます。

つづく