Tartaruga In-house production series 第一弾

Tartaruga In-house production series 第一弾

前回、「マイクロ自社工場」として、

「ちょっとイイ3Dプリンター」を社内に導入したお話をさせていただきましたが、その3Dプリンターを活用した、Tartaruga In-house production series 第一弾、「Type SPORT専用フロントキャリアーB ver.2用エンドキャップ」をこの度発売いたします。

「Type SPORT専用フロントキャリアーB ver.2用エンドキャップ」

タルタルーガ自転車タイプS専用フロントキャリアー「Type SPORT専用フロントキャリアーB ver.2」には、フロントバッグ「F-104」等を装着するための「アクセサリーアダプター」が付属しています。
本来、ハンドルバーに装着する事を想定した、「F-104」等のフロントバッグですが、重量物を入れて、ハンドルに装着すると、ハンドルを操作した際の慣性モーメントで、ハンドリングに悪影響を与えてしまいます。
「Type SPORT専用フロントキャリアーB ver.2」に付属の、「アクセサリーアダプター」を利用することにより、フロントバッグがフレーム直付けとなり、ハンドリングに影響することなく、フロントバックに様々なものを積載できるメリットがあります。

ただ、この「アクセサリーアダプター」には、パイプと同じ径の汎用品のエンドキャップが付属している為、ベルトの内側両サイドにズレ止めの為のタイラップを追加するなど、ちょっとした工夫(詳細は、こちらのブログを参照ください。)を施さないと、フロントバッグの取り付け部が簡単に抜けてしまいます。

本来は、「アクセサリーアダプター」のパイプに対して、二回りほど大きな径のエンドキャップを装着して、フロントバッグの取り付け部が抜けないような仕様にしたかったのですが、汎用パーツでは、その様な理想的なパーツが存在しておらず、専用パーツ制作の検討も行いましたが、専用の「金型製作費」の負担に加え、一度の生産で数千個の生産が必要となる、「最低生産数量条件」との折り合いがつかず、苦渋の選択として現状の仕様での販売を続けておりました。

3Dプリンターの活用

タルタルーガ自転車3DプリンターMade_in_Tartarugaそこで、「3Dプリンター」です。
前回のお話で触れた、3Dプリンターの活用にうってつけの案件だと考え、理想的なエンドキャップの制作を、その第一弾とすることにしました。

デザイン検討

タルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_series理想的なエンドキャップを制作すべく、デザイン検討に入りました。
その流れをまとめたものが、上記画像になります。
機能的な点だけで言えば、「アクセサリーアダプター」のパイプに対して、一回りから二回りほど大きな径のエンドキャップにすれば、機能的には成立します。

しかし、単純に二回りほど大きなエンドキャップでは、旋盤で引いて制作が可能なため、3Dプリンターでの制作ならではの形状を活かすべく、単純な円形のものではなく、偏心した特殊形状を基本とすることにしました。

更に、パーツの剛性と強度をより高めるために、凹み形状のディテールを追加。
凹部側面は、C面処理とし、最深部のフラット面を綺麗に仕上げるため、サポート材(印刷時の空中に浮く部分を支える補助構造体。最終的に外して破棄します。)の追加とサポートルーフを設けて印刷を行います。

また、偏心形状の先端部には、小さ目の「タイラップ」などを通せる貫通穴を設け、購入後のお客様のアイデアで、更なるカスタマイズが可能な「きっかけ」の機能を持たせることにしました。

基本的な形状が決まると、更に細部の形状や寸法を詰めて行き、キャップヘッド部のデザインが決まりました。

組付けの為の工夫

タルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_series次に、「アクセサリーアダプター」のパイプに挿入される、接合部の形状を詰めました。
「アクセサリーアダプター」に使用しているパイプは、外径:25.4㎜、肉厚:1.6㎜のパイプです。
という事は、内径:22.2㎜が接合部の図面上の内径となります。
ただ、パイプの内径に関しては、制作誤差としての多少のバラツキもあり、また、塗装を行っている為、塗装の回り込みの有無の影響も受け、現物の内径寸法にはかなりのバラツキが想定されます。

この点への対応策として、この組付け部に対して、細いスリット状の突起を、中心から放射線状の三点に設け、この突起が、パイプの内径部に接触して固定する設計としました。
お手持ちの「アクセサリーアダプター」に装着する際に、もしキツイ場合は、この突起部を少しだけヤスリ等で削ってあげると、簡単に装着できると思います。

3Dプリント

タルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_seriesタルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_seriesタルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_series印刷に使用するフィラメントは、前回お話しした、耐候性のある「ASA」樹脂。
弊社にてテストプリントを繰り返して設定内容を煮詰めて製作した、「ASA」フィラメント用のカスタム設定を使用してプリントを行います。
一層あたりのレイヤー高さは0.16㎜で、左右分2個1セットを同時に印刷して、そのプリント時間は1時間40分です。

発売開始

タルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_seriesタルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_seriesタルタルーガ自転車3DプリンターTartaruga_In-house_production_series以上の様な流れをたどり、Tartaruga In-house production series 第一弾「Type SPORT専用フロントキャリアーB ver.2用エンドキャップ」が、完成しました。
現時点で、私が理想とする商品に仕上がっています。
左右分2個1セットの販売価格は、本体価格:5,400円 (税込 5,940円)となります。
ご購入をご希望される方は、ご購入店様にお申込みください。