Museum Pacific Cycles 前編

Museum Pacific Cycles 前編

弊社の全製品の生産を委託している、Pacific Cycles 社

は、自転車生産王国「台湾」の自転車産業界にあって、ひときわ個性的な会社です。
世界的にも有名な、数多くの折畳み自転車や、特殊用途の車両など、他の生産工場が、なかなか手を出したがらない、手間のかかる商品の開発や生産を、進んで受け入れる事で、独自のポジションを構築しています。
私からの、採算度外視ともいえる、細かな生産指示にも、その分コストは掛かりますが、納得して、実施いただいている事は、以前お話した通りです。
これは、ひとえに、創業者である「ジョージ・リン」氏の哲学によるところです。
そんな「ジョージ」さんの思いのこもった、Museum Pacific Cycles が、台湾の桃園空港(殆どの国際線が到着する、台北エリアのメイン空港)から30㎞程の、桃園市永安工業区の一角に建つ、Pacific Cycles 社の新社屋内に、2014年にオープンしました。

旧 Museum Pacific Cycles

タルタルーガ自転車MuseumPacificCyclesタルタルーガ自転車MuseumPacificCycles実は、現在の様な一般公開タイプでは無く、社内ショールーム的な意味合いの強い、初代 Museum Pacific Cycles が、2004年に、旧社屋内に開設されました。
Pacific 社が、それまでに生産した膨大な製品サンプルの展示を主目的とした、旧ミュージアムは、以前お話した、Pacific HOTEL の階下、3フロアーを使っていました。

私も含め、Pacific HOTEL に滞在していた、多くの無名デザイナー達にとって、なかなか見る事のない、「相当変わった」先人たちの思いや、執念のこもった数々の車両の現物をじっくりとみられる場は、とても貴重で、私もアイデアに行き詰まると良く通い、また、展示車両を前に、何人かでお酒を飲みながら、激論を交わしたりもしました。

新 Museum Pacific Cycles

タルタルーガ自転車MuseumPacificCyclesタルタルーガ自転車MuseumPacificCycles2009年に完成した新社屋の、広大な2階フロアー全てを使用して展開されているのが、現在のMuseum Pacific Cycles になります。
一階のエントランスには、「BRIC cafe」というカフェが併設されていて、ミュージアムの来場者は勿論、Pacific Cycles の社員や、近隣工場の社員さん達にも憩いの場として利用されています。
因みに、「BRIC cafe」という名前の由来は、Pacific Cycles 社が自社ブランドとして展開している「Birdy」「REACH」「IFシリーズ」「Carry ME」の頭文字をとって、命名されました。

コンセプト

約200点もの展示車両は、「ジョージ」さんが、研究のために個人的に収集した、貴重な歴史的アイテムも何台か含まれていますが、基本的に Pacific Cycles 社が開発や生産に携わった車両が中心で、単に古風な自転車のコレクションの展示というより、世界中の自転車に関する、技術と挑戦の歴史をメインとしていて、他に類を見ない様な商品の製造を得意とする、Pacific Cycles 社ならではといえます。

ミュージアムツアー

タルタルーガ自転車MuseumPacificCyclesタルタルーガ自転車MuseumPacificCycles「BRIC cafe」奥の階段を上り2階へと進むと、ミュージアムのエントランスとなります。右手には、小さ目の階段教室があり、各種セミナーや新製品のプレゼンなどもここで行われます。
左手奥は、ミュージアムショップがあり、様々なオリジナルグッズなどが、お土産として購入可能です。

タルタルーガ自転車MuseumPacificCyclesタルタルーガ自転車MuseumPacificCycles最初のセクションは、1980年の Pacific Cycles 社創業から現在に至るまでの流れと、自転車の歴史に関するパネル展示、自転車の運動力学など、科学的な解説に関するパネル展示とつづきます。
残念ながら、これらのパネル説明は、英語と中国語のみとなります。

後編は、車両展示に関する説明と、特に気になる商品の解説を行います。

つづく